猫関係

 

 

「ああもう!」

 

一匹の雌猫が頭を抱えている。下に広がる青々とした森はうっすらと影が覆っている。同じく不安そうにのぞきこむ美しい三毛猫、スポッティドリーフは少し困ったように首を傾げ尻尾を不安げにゆらゆらと動かす。

 

「最悪だわ!あの子の仲間がここにいるなんて・・・。」

 

さっきから怒りに髭を震わせている雌猫、ブルースターは色々悩んでいた。

 

「ブルースター。仕方ないわ・・、サンドストームやブランブルクローのことは・・・。」

 

 

 

「違うわ!!!!!!!!」

 

 

 

ピクッとスポッティドリーフは震える。悲しげに瞳を曇らせながらサンダー族のキャンプで消えかけている生姜色の炎を見つめ、ふうっと息をつく。その様子をみたブルースターは申し訳なさそうにしばらく目を泳がせ、告げる。

 

「ごめんなさい、貴方に八つ当たりしても仕方ないわ・・。でも今回は複雑なの。」

 

 

 

「そう・・・。看護猫にはわからないか?」

 

 

 

今回初めての雄猫の声。二匹が振り向いた先には、赤茶色の雄猫がたっていた。スポッティドリーフは少し不機嫌そうに尻尾を揺らし、ペシッと地面に叩きつける。

 

「馬鹿にしないで。オークハート。私にだってわかるわ、私だって愛した猫くらいいるもの・・・。」

 

スポッティドリーフは項垂れて森の生姜色の灯をちらりと横目で見る。その様子でわかったのかオークハートも申し訳なさそうに尻尾を揺らし、スポッティドリーフの方に鼻をチョンっと載せ、一歩下がる。

 

 

 

 

 

「そう・・、これはね複雑に絡み合う恋の物語なのよ」

 

 

 

 

 

 

 

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 

 

 

 

 

 

 

ラビットフロウは動揺していた。相次ぐ仲間の死。族長の危機。そして、消えたブランブルクロー。まったくわからなかった。全てがいきなりのこと過ぎて。ハイロックへ走る時間が途方もなく長い気がした。足を引きずりながら出てくるシンダーペルト・・、さっきから止まることのないスクワーレルポーの悲鳴・・、ウィンディが心配そうに看護部屋から顔を出している。。。母猫たちが保育部屋へと子猫たちを押しやっている。

 

空き地を疾走する自分の足にスクワーレルポーの食べかけだった骨が刺さる。肉球から血が滲む。痛い・・、今向かったからって私に何ができるんだろう?サンドストームのお情けで戦士になった哀れなわたしに・・?どうせまたレッドポーにいいように使われるんだから・・。

 

 

 

ドンっ

 

 

 

何かほわっとした物にぶつかった・・・。この寒い時期にこんなに暖かい物があるなんて

 

・・・。ひっくり返った姿勢のまま見上げる。そこには・・・

 

生姜色の毛並みの族長、ファイヤスターがいた。ただ、違うのはファイヤスターの瞳が深紅だということ。そしてその身に禍々しい黒いオーラを纏っていること。見慣れた族長なのに全身に寒気が走った。自然と毛が逆立つ。体は恐怖に支配されているというのに引きずられるようにして後ろへ下がる。足が震えてうまく立てない。まるで産まれたての子猫みたいに。いつも優しかった族長が今は怖い。足がすくむほどに。ラビットフロウは恐怖に満ちた目を上げる・・・?ラビットフロウは目を見開いた。

 

 

 

≪どうしタ?殺されるゾ!!≫

 

 

 

レッドポーが叫んでいる。今はどうでもいい。ラビットフロウは見てしまった。ファイヤスターの後ろに横たわる、生姜色の塊を。そこに向かって走ってくるシンダーペルトを。

 

あれは・・今までのことが走馬灯のようにめぐる。

 

子供のころから同じ保育部屋で育った。いつもしつこくていつしか私たちはサンダー族のおてんばコンビとまで言われてた。他の部族にまで噂は広がっていて大集会に行くと皆にはやされていた。

 

そのコンビがもういない。この世から消え去った、実の父親の手にかかって。胸の中で怒りが煮えたぎっている。これまでに無いほどに。

 

「怒っているのか?娘を手に掛けたこの器を?貴様自身親に捨てられた身だというのに?」

 

 

 

ラビットフロウは目を見開いたまま硬直した。尻尾はだらしなく下がり目の前の敵を見据える。その奥で目を見開いているシンダーペルトがいる。恐る恐るクラウドテイルとブラウンハートを見る、が二人は目が合ったとたん視線を外しホワイトポーと看護部屋へ歩いて行ってしまった。

 

愕然とした。わたしはサンダー族の猫ではなかったの?小さいころから戦士達に気味悪がられていた。子猫のくせにっと。驚異的な聴力と、運動能力を持っていた。生まれながら。

 

族長は凄いと言ってくれた。良い戦士になれるぞと、子猫だった私によく言ってくれていた。なのに、私はサンダー族の猫ではないの?

 

 

 

「気づいていなかったのか?じゃあまだ覚醒していないんだな。」

 

 

 

ファイヤハートもどきは意地悪そうに笑ってレッドポーを見る、そして看護部屋から空き地を横切って走ってくるウィンディをみる。

 

 

 

「なあ?レッドレイン?お前の子供は一体どこだ?」

 

 

 

レッドポーが硬直する。やっと着いたウィンディが顔を真っ青にして一歩一歩と後ろへ下がる。どういうことかラビットフロウには分からなかった。ただ目の前の族長が自分の知っている族長で無いことはわかった。

 

ファイヤスターもどきはラビットフロウに向き直ってにやりと笑う。

 

 

 

「貴様は何者だ?」

 

 

 

 

 

 

 

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 

こんにちは。戦闘シーンは描きにくいんでやっぱ省きました。ブラックファイヤスターの登場です。あっでも、ファイヤスターは死なないんで大丈夫ですヨ!(何がだ!)

 

ここら辺になるともういっそ過去も書いちゃえば?って気になるんですけどこれでも書く気はないですね~余裕があれば過去編も・・・、とかって甘っちょろいこと考えてる私を許して下さいww

 

では次回はウォーリアーズ側では無く、あちら側でのパラレルワールドですっ!