朝寝坊

「スティールポー・・・・・スティーールポーー!!!」

 

かすかに自分の名前を呼ぶ声がする。

「うう、、、眠い、、よ、、」

スティールポーはうなりながらコケに鼻ををうずめた。

久しぶりにぐっすりと眠っていたのにいったいだれなんだ!

「誰だか知らないけど、、もうどっかいってくれよ!」

 

「指導者に対してホント敬意のこもった言葉ね。」

どこかで聞き覚えのある言葉がスティールポーの頭上で響く。

 

「もう、いったい誰なんだよ!!!」

スティールポーはいらだちながら目を開けると

濃いショウガ色の顔がスティールポーの顔をのぞきこんでいた。

 

「え、、はわっ、、、、タッ、、、、ターンペルト!!」

 

スティールポーは目を丸くし後ずさり後ろの壁に頭をぶつけた。

「っ!!」

「相変わらずドジねぇ。さぁ、今太陽はどの位置にあるかな??」

笑いながら指導者が見習いに出すお決まりの言葉で質問をしてきた。

いったいなんでそんなことを聞くのだろうか、、、?

スティールポーはぶつけた頭の辺りの毛を整え寝ぼけながら答えた。

「えっと、、おそらく、、東のほうですか?」

確か自分の方角からはそっちだったと思う、、

ターンペルトがあまりにも目をじっと見るのでさらにスティールポーはさらに後ずさった。

「はい、不正解! 答えは自分の目で確かめることね!」

そういうとターンペルトは尻尾をさっと振り獲物置き場へと歩いていった

 

スティールポーは体についたコケを振り落とし

ターンペルトを追って獲物置き場へと向かった。

 

空を見あげると太陽の位置は自分のほぼ真上にあった。

 

しまった!!また寝坊をしてしまった!!

 

これで3回目だ!何で自分はすぐにおきられないんだろう!

スティールポーは皆の集まっている獲物置き場をみてうつむいた。

「スティールポーおはよっ!!!」

誰かが後ろからのしかかりスティールポーの目をかくした。

「うっ・・うわっ!」

 

「だーれ・・・」

ラビンポーが聞く前にすかさず答えた。

「ラビンポー???」

「なんでわかったのっ!」ラビンポーは本気でびっくりしているようだ。

「こんなことするのはキミ以外いないと思ってね・・・」

スティールポーはラビンポーと話しながら獲物の山の前にすわった。

スティールポーは獲物を山からひとつ自分の分をとったが

寝坊のことが気にかかりじぶんは

食べてはいけないような気がしてならなかった。

 

そしてスティールポーはくわえていた獲物を山に戻すと、

尻尾を下げて見習いの集まる切り株へ歩いた

「働かざるもの食うべからずだなっ」

 

通りすがりにダークストライプがかすかに笑いながら通り過ぎた。

そのとおりだ。働いていないのに獲物を食べるなんてホントに自分はだめな見習いだ。

 

後ろを振り返るとラビンポーが追ってきていた。

「どうかしたの??スティールポーは食べないの???」

獲物をくわえながらもごもごといった。

「かまわないでくれよもう・・・」

わざとそっけなく答えた。いまは誰とも話したくない。

 

スティールポーはラビンポーのくわえているアオズトリをみて

つばを飲んだ。さすがに寝坊のことが気にかかり食べるものが進まないなんて特にラビンポーにはいえない。

 

「ぼくは、おなかがすいてないだけだよっ!」

 

スティールポーはラビンポーが追ってくる前に駆け出した。

目的地に到着すると、スティールポーは切り株の横にすわり

前足の上に自分のあご置いた。

ふとキャンプの入り口に目をやるとイーグルフットとダガーポーが

口から獲物をぶら下げながらやってきていた。

しばらくすると後ろからブラクンポーとシンダーポーもやってきた。

 

なんでシンダーポーとブラクンポーが・・?

 

スティールポーは不思議そうに眺めていると

入り口かファイアハートがゆっくりはいってきて

イーグルフットと話し始めた。

 

ファイアハート!!!!!!!!

 

スティールポーは驚いて立ち上がり彼らを見つめ立ちすくんだ。

あの、憧れの、、ファイアハートと一緒にいってきたのだろうか??

 

ダガーポーはスティールポーに気がつき先輩たちに挨拶をし

スティールポーのところへとんできた。

 

「兄さん!聞いてよ!僕ファイアハートとにねずみの捕り方を

                    教わったんだよ!!」

ダガーポーは興奮してすごい早口になっている。

「この獲物おいてきたらもっと話を聞かせてあげるね!!!」

スティールポーが答える前にダガーポーはダッシュで獲物の山へと

むかった。

 

 

スティールポーはショックでふらふらしていた。

僕も、、寝坊さえしなければ、、、、ファイアハートに、、、

ねずみの捕り方を教えてもらえたのに、、、、、、、!!!

僕も一緒に行けたのに!!!

 

スティールポーはダガーポーの話を聞く前に早めに寝ることにした。

明日は寝坊をしないよう・・・に!!

 

切り株の横にすわった。

横をみるとに茶色いねずみがおいてあるのに気がついた。

 

「ラビンポー・・・か」

 

スティールポーはラビンポーにもらったねずみを食べて。

ラビンポーに何度も感謝した。

 

明日はお礼に早く起きてラビンポーに獲物をもっていってあげよう。

スティールポーはそう思いながら地面に横たわった。

 

明日は早く起きれそうな気がする。