白骨の軍団

「部族なう。」

白煙の中から一匹の黒猫が現れる。その名は―

「きっ、・・・吉祥!?」

「おっひさ~♪吉祥只今参上!!」

彼の名は吉祥。かつて、若き日のファイアスター、ファイアハートらとともに戦った猫。
してその実態は日本に住む猫又である。

「きたなジジイ。さっさとこいつらに事情を説明しろ。」

「ジジっ!?・・・いきなり失礼だなぁ。こっちは日本からわざわざ飛んできたっていうのに。」

登場していきなりの罵倒に吉祥が顔をゆがませる。

「俺よりはるか年上なんだ、ジジイはジジイだろ。」

クラッシュテイルがさらに突っかかる。

「年上に対する礼儀がなってない。」

「黙れ。さっさとやらないと頭をかちわる。」

「お~こわこわ。分かったよやりゃいいんでしょ。ク~ラちゃん?」

「誰がクラちゃんだ!?俺はてめぇの孫じゃねぇ!!」

「二人とも!!漫才はそれくらいに、「「どこが漫才だ!!」」

と、ジンジャーの制止も見事に逆効果。一向に話が進まない。

「いいかげんにしろ!!次々出てきて一体何なんだ!!」

ファイアスターの一声が事を収めた。

「あ、・・・あ~ゴホンッ!!僕らが来た理由。それは、・・・。」




吉祥の話をまとめるとこうだった。四部族が前の森を断つ少し前のことだ。

白骨の鎧をまとった謎の猫たちが現れ、吉祥の姉が持つ、特殊能力をもった鎌を強奪。
さらにその後も各地で破壊活動を行っているということ。

グリフィン達はスター族から言われ、彼らに対抗できる「力」をもった猫を探しており、その最後の一匹がここにいるという。

「力をもった猫?そんなの俺には、・・・それこそ吉祥ぐらいしか…。」

ファイアスターの言葉に吉祥は肩をすくめて答えた。

「あいにく僕は違うよ。鎌が奪われた日、僕も襲われたけど、あれは危なかった。一矢は報いたけど・・・ね。」

吉祥は自分の肩を見つめる。術で直したとはいえ、この肩をザックリやられたことは変わらない。
そもそも自分が不意打ちとはいえ、傷を負うほど油断するはずがない。となると奴らの正体は…。


「そもそも連中はもうすぐそこまで来ている。連中の最終目的が何かはわからんがよくない。それだけは確かだ。」

「他の部族にも知らせた方がいいか?」

「そうしてくれ。それと…結界を張ろうと思う。各ポイントに猫又達を配置するんだ。各部族の許可が欲しい。」

「なら次の大集会で…。」

「だめだ。それでは間に合わん。」

クラッシュテイルが話す。

「ここに来る途中の部族、・・・連中がやられたのがほんの三カ月前。機会を待ってるはずだ。」

「!!まて、途中の部族・・・それはまさか・・・!!」

ブランブルクローが割って入ってきた。

「ラッシングウォーター・・・とかいったか。俺が来た時にはもう遅かった。」

「ばっ、馬鹿な…!!そんなこと・・・!!」

「3分の2ぐらいがやられたが、生き残りもいる。俺の部族で預かってる。」

「お前の…?」

「ああ。ブラッド族さ。」

「「「なっ!!!」」」

部族全体がざわめく。

「安心しろ。客人はもてなすさ。・・・礼儀正しく、な。」

グリフィンが最後を締める。

「まあ、ことを急がないと二の舞になっちまう。各部族に伝達してくれ。明日会って話したい、とな。」