黒の二点ともう一点

 

 

 

「ヒヒヒ、簡単に釣られてきましたぜ? さすが親分の力だぜ。」

 

「ふん。 私がお前に教えてるのに覚えないから私がやっただけだ。 もうじきこの土地も手に入るだろう。」

 

「ノラ猫は喰っていいのか?」

 

「我らのものになったら好きにするがいい。今呼んだあの2匹はまだ駄目だ。 でも生きていればいいとしよう。」

 

「さて、そろそろ計画実行ですぜ!」

 

「ああ、ヘマをするでないぞ? 私も定位置で準備をする。 計画通りに進める事。」

 

「了解ですぜ!」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「く・・・ 暗いよ…。 月が雲に隠れてきちゃった…。」

「バカね。 月が隠れてもスター族様は見てくださってるのよ?」

「そうだけど…。」

 

2匹は4本木に着き、4つの岩の真ん中に歩んだ。

 

 

「何が起こるのかしら…♪」

「・・・。」

 

目を輝かすシンダーポーと蹲って震えるブラクンポー。

 

 

 

 

ガサ・・・

 

 

ブラクンポーの耳がピクリと震える。

 

「何かいるよ・・・!!」

「えっ! どこどこ!?」

 

「怖いものが・・・  そっちに…。」

「怖いもの?」

 

シンダーポーはブラクンポーが耳で示した方向に歩み寄る。

 

そこには茂みがあった。

 

その茂みを嗅ぎまわるシンダーポー。

 

「何もないわよ?」

 

 「・・・。」

 

「ブラクンポー? 何もなかったわよ~?」

 

返事が無い。

 

 

「逃げちゃったの? 何やってるの~?」

 

シンダーポーが茂みから目を離したその時!!

 

 

 

ガアアァ!!!

 

茂みからカラスが飛び出し、シンダーポーに襲い掛かった!!

 

 

ザクッ!!

 

シンダーポーの耳にカラスの尖った嘴(クチバシ)が突き刺さる!

 

 

シンダーポーは一気に恐怖に駆られ、何も考えずにそこから逃げ出した!!

 

 

 

 

「逃げるなよ? お嬢さん。」

 

「えっ・・・。」

 

この声は・・・。

 

 

シンダーポーはその声に聞き覚えがあった。

走る足を止める。

 

 

この声は・・・。

 

「お嬢さんにお話があるのです。」

 

「そ・・・ その声・・・。  私の・・・  予言の・・・」

 

「覚えていたか? あんたの夢に現れてここへ呼んだのは私だよ? 簡単に引っ掛かってくれて感謝するよ。」

 

 

そう。背後から聞こえてくるカラスの声。

それは、シンダーポーの夢に出てきた予言の声その物だったのだ。

 

 

「そんな・・・。」

絶望で足の力が抜け、へなりと座り込む。

 

 

 

「お嬢さん、これが見えるかい?」

 

 

シンダーポーの前にその偽予言の声の主が現れる。

 

 

今まで見たことのない大きさのカラス…。

 

その大きな翼には、つるで縛られたブラクンポーが抱えられていた。

 

 

「ブラクンポー!!」

名前を呼ぶも、彼は目をつむり、気絶しているようだった。

 

「さあ、別にこいつを見捨てて行くんなら逃がしてやってもいいが、見捨てられないんだろう? ここで大人しくいう事を聞いてもらおう。」

 

 

「いや・・・ いやよ・・・。」

 

恐怖からの涙声。

その涙声がカラスを喜ばせた。

 

「その声、興奮するねぇ・・・。 苦しみとはどうしてこんなに快楽なのだろうねぇ・・・。」

 

カラスはシンダーポーの耳元で小さな声で囁く。

 

「お嬢さんの部族の子猫、あのくらい痛めつけないと私は満足しない。 むしろ傷ついてない猫を見るとひたすら傷つけたくなるのさ・・・。 あの子猫は助からなかっただろう?」

 

「え・・・? 子猫…?」

シンダーポーには心当たりが無かった。

 

「とぼけるな。 真っ黒の子猫を4本木に誘い、俺が血まみれにして伝言を渡したはずだ。 その伝言を無視したから2度目の催促さ。」

 

「サンダー族にはそんな事件ありませんでしたよ・・・!!」

 

「黙れ!! さあ、どうすれば本当の事を言ってくれるのかな?」

 

カラスは無情にシンダーポーを見つめ始めた。

シンダーポーはその視線で体を見られているだけで気絶しそうになるのを感じた。

 

 

 

ふと、うしろの景色が動いたように見えた。

 

 

 

月の光が届いてないので良く見えないが、黒い影が動いている。

 

なんだろう・・・。

 

 

「よそ見するなんて、ずいぶん余裕があるじゃないか?お嬢さん?」

 

ハッとカラスに視線を戻す。

 

 

「ま、その内よそ見どころか前も見れなくなりますよ…?」

 

言葉の意味を考えてシンダーポーはぞっとした。

はやく逃げなきゃ・・・

でもブラクンポーを置いて逃げれない・・・。

ブラクンポーはつるで縛られ、気絶しているままだ。

 

 

(助けてスター族様…!!)

シンダーポーは心の中で念じるだけだった。

 

 

「さて、こちらには時間が無い。 おい。アグス。どうしたい?」

 

アグス と呼ばれて、先ほど茂みから驚かしてきた方のカラスが現れた。

 

「親分に注文できるほど偉い立場じゃないですぜ?」

「さっき、喰っていいのか? と聞いていただろう? 喰うならどっちがいいさ?」

 

喰う…!? 猫を・・・!!

 

 

「どうせ食べるならメスの方がいいですかね。 でも親分食べたければ私は譲りますよ?」

「フン。どうせここを手に入れれば好きなだけ食える。 こんなチビ、私には不要だ。」

 

「じゃあ、俺っちが頂ますよ・・・。」

「いやっ!! 嫌よ!!」

「何を言うお嬢さん?」

親分と呼ばれたカラスはシンダーポーに顔を近づける。

「お嬢さんが犠牲になれば、この坊主は助かるのだよ? お嬢さんの弟だろう? 助かった方がいいじゃないか。」

「・・・・ いやよ・・・。」

「俺っちに喰われれば、苦しまずに死ねて、弟も助かるってのに、賢くないお嬢さんだ。」

「嫌!! 助けてスター族様!!!」

シンダーポーは恐怖で動かない足を引きずり、カラスから少しずつ離れる。

 

「フン。スター族だ? そんな子供騙し。 まあ、その子供騙しのおかげでお前はここに連れてこられたわけだがな。」

 

「・・・。」

 

 

しばらくの沈黙。

シンダーポーはカラスたちの狂気が恐ろしくて動けない。

カラスたちは震えるシンダーポーを見てニヤニヤ笑う。

 

 

 

「やめて・・・。」

 

 

シンダーポーは、はっとブラクンポーを見る。

 

 

「やめてよ・・・・。」

 

「ブラクンポー!!」

 

つるで縛られたブラクンポーが言葉を発した!!

意識が戻ったようだ!

でも、なんだかおかしい・・・?

ブラクンポーは俯いて(ウツムイテ)いて顔を見れない。

 

 

「ほほう? 坊主。 この状況を分かってて言っているのか?」

 

「ああ…。 僕の姉に手をかけようとしてる、この状況をみてそう言ってるんだよ・・・。」

「ブラクンポー・・・?」

違う…。 ブラクンポーはこんなに狂気のある性格じゃない!!

 

 

ブラクンポーはどうにかして爪をだし、つるを爪で切り裂いてしまった!!

 

「な!! お前どうやってそのつるを…

「このやろう!!!!」

ブラクンポーはその言葉を遮り、カラスに跳びかかる。

その途端、シンダーポーの動かない足が急に動くようになった。

 

「ガア!! このガキのくせに私に攻撃とは…。 なめられたものですな…。アグス!! 逃がすな!!」

「おう!!」

2羽のカラスが羽を広げる。

 

 

 

「そこまでだ。」

 

 

2匹と2羽は声のする方を見る。

 

 

そこには黒猫がいた。

 

「吉祥さん!!」

シンダーポーは先ほど、吉祥を無視して逃げてしまったのが申し訳なくなった。

ブラクンポーは何故かそんなに驚いた表情は浮かんでいなかった。

 

「さぁて皆さん、時間が無いので雑談はしませんよ。 足元をご覧くださ~い。 足元の白い線の上にいる人は、逃げた方が身のためだよ~ん。」

 

 

足元を見ると、シンダーポーは白い線の上に立っていた。

 

「3、2、1…」

 

 

あ、逃げなきゃ…!

 

そう思った途端、吉祥が言葉を放った。

 

「発動!!」

 

それと同時に誰かに背中を咥えられた。

 

「キャッ!!」

 

自分の立っていたところから眩しい光線が空に向かって伸びた。

 

 

カラスの悲痛な叫びが森に響く。

 

 

シンダーポーは自分の足が地面に着かないことに驚き、じたばたと手足を振り回す。

 

「モゴ…動かないでよ!! 落としちゃう!! モゴモゴ…」

 

声の主を見る。

 

「ブラクンポー!!」

 

シンダーポーを咥えて吉祥の術から護ったのはブラクンポーだった!!

 

ブラクンポーが線の引かれていない地面に着地する。

シンダーポーは地面に足が付きほっとする。

 

「ありがとう!! スター族様の姿が見えた気がしたわ!!」

「もう。気を付けてよね!! 吉祥の術は遠慮してないから。スター族様の所どころか、霊も消えちゃうよ?」

 

う・・・ うん・・・・?

 

「ブラクンポー? なんか変よ?」

「う…。 うん。 僕もなんか変かも。」

「?」

 

 

「やっぱし過大な演出するなら魔法陣だよね。定番定番。」

 

吉祥がゆらりと尻尾を振りながら座っている。

 

白い光は、光の壁となって空に向かってそびえている。

月が見えないのに、辺りは昼のような明るさだった。

 

 

「さあ、黒幕さん。 どうするの?」

 

光の壁が消えて、また夜中の暗闇に包まれる。

 

「…。 猫股か。厄介な敵を相手に回しましたね。」

例の大きなカラスが続ける。

カラスは吉祥の術で傷つけられながらも空中に飛んでいた。

 

「気まぐれな猫股が部族の味方とな。 部族の猫たちもさぞ災難であろう?」

 

「どういうことだね? 俺を侮辱してるのかい? 生憎とそんな事理解できるほど気分が良くないんでね。 ひと狩りしたい気分なんだよ。」

 

「私じゃなくて部族の猫を狩るといい。 お前たち猫股は猫の血を吸って霊力を得るんだろう?」

 

「ほう。 よく知ってるじゃない? でも俺は悪人、いや悪猫の血しか吸わないぜ? あんたの言いたいことはよ~く分かるが、さっきも言った通り、理解できるほど気分が良くないんだよ。」

 

「そうか。 じゃあ私が分からせてやろう。」

 

大きなカラスは翼を大きく広げる。

 

 

「いやいや。 お前は猫股に詳しいんだろ? 俺はカラスに詳しくないからカラスの戦いの礼儀なんて知らないんでね。 猫股の戦いの礼儀を押し通す。 お前さんにも押し付けるからね。 まずは名前ぐらい名乗ってもらおう。  僕は吉祥。 猫股岳の吉祥なり!!」

 

吉祥はそう言うと、力強く跳び上がり、空に浮いた。

 

「いいでしょう。 私の名は、夜枯(ヤガラシ)。 八咫烏の夜枯なり!」

 

大きなカラス・・・ 夜枯は羽ばたき、吉祥に向かって一直線に跳びかかった。

 

 

 

 

「…さあ。キャンプに戻ろう。」

2匹・・・ 1匹と1羽のやりとりを見ていたブラクンポーが呟いた。

 

「え!? まだ見ていたいわ!!」

「ダメだ。 術が解ける。」

「?」

「とにかく戻るよ。」

 

そう言ってブラクンポーはキャンプに向かって歩いて行ってしまった。

 

「ちょ・・・ 待ってよ!!」

シンダーポーも戦う1匹と1羽に背を向けてブラクンポーを追いかけて行った。

 

 

 

う~ん。 なんか美味しくない。(意味不明

 

最初の会話はお察しの通りカラス2匹の会話。

分かるよねっ!w

 

吉祥の、

>まずは名前ぐらい名乗ってもらおう。

は、江戸時代の武将が、名乗ってから一騎打ちをするイメージですw

猫股の場合、化かし合いが主な戦いなので、自分よりも計算高い相手の名前ぐらいは知っておきたいよね!!w というアレ。

 

夜枯(ヤガラシ) の名前は、不思議と彼が名乗るシーンになったら自然に浮かんできました。

かっこいい名前で良かったね!! 黒幕!!ww

アグスっていう名前は適当。 ゴメン…w

 

黒幕たちの口調が変なのはご愛嬌。

 

しかしまぁ、猫を一匹、悲鳴も上げさせずに羽だけでつるで縛るとはどんな技術がいるのやら。。。 術を使ったことにしておいてくださいww

 

あ、このタイトル、小説名と比べちゃうと微妙にネタバレだwww

実はこの時点で18話書き終わってますwww