災害の始動

 

 

「兄貴~獲物はもう減らしましたぜぃ」

 

「ご苦労、ポイズンテイル」

 

そこへ茶色い縞が入った体つきの大きい雄猫がやってきた。

 

「遅れました~兄さん!」

 

「おい!マッディストリーム!遅すぎだ!」

 

ダークライトニングが怒鳴った。

 

「ご、ごめんなさい・・・」

 

「まあいい。一番遅いのはシャドウクローだからな」

 

「で、兄さん俺は何を?」

 

「お前は災害を起こせるだろう?だから俺と共同で、仮の襲撃をするんだ。そうすればあの部族は弱る。これまでにない実践的な行動だ」

 

「え~兄さん、サンダー族にそれはきつすぎじゃありません?」

 

「っ、忘れたのか!あのサンダー族のせいで俺たちがどんな目にあったのか・・・お前は優しすぎる。敵に対して躊躇はするな・・・あのことを思い出せ」

 

そういった瞬間、黒猫の緑の目に憎しみが表れた。

 

「ふん。じゃ、行こうぜ兄さん」

 

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フォールリーフは若葉の季節の始まりを告げる風に毛を乱されながら森の中を歩いていた

 

「あ、またあったわよ」

 

ブロッサムフェザーが小声で忠告した。

 

ああ、またあれか。フォールリーフはこの獲物のせいで命を落とした雌猫を思って胸が締め付けられた。

 

サマースカイが死んだねずみのことをブルースター報告してるときに、長老のダプルテイルがそれを食べてしまい、腹痛を起こしたのだ。

 

あの時、看護猫の妹が応急処置をし、最善を尽くしたものの、三毛の長老はスター族のもとへ旅立ってしまったのだ。

 

それいらい、族長は死んだ獲物は持ってこないように一族に命じた。もう若葉の季節が始まったが、獲物はほとんど死んでしまい、一族はおなかをすかしている。

 

そして今、自分とブロッサムフェザーの足元には死んだウサギが横たわっている。

 

「一応埋めとく?」

 

赤茶色の雌猫の言葉にフォールリーフは首を振った。

 

「一族の最年長の長老から一番幼い子猫までこの獲物のことを知らないものはいない」

 

「そうね・・・」

 

ブロッサムフェザーの暗い声を聞いて、フォ-ルリーフはわざと明るい声で付け足した。

 

「さあ、一族の獲物を探そう。大丈夫。飢え死になんてさせない」

 

「うん。行きましょう」

 

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フォールリーフは狩りをしてきた後、少ない獲物をブロッサムフェザーと分け合って食べながら、暖かい午後を満喫していた。

 

だが、そのひと時の楽園はシャドウ族のにおいにさえぎられた。

 

「サンダー族のみんな!敵だ!」

 

副長の声が響き渡ると、サンダー族の見習いや戦士がキャンプの真ん中に集まった。

 

「サンダー族、かかれ!」

 

ブルースターの合図でサンダー族の猫たちは敵に飛び掛った。

 

シャドウ族の戦士とサンダー族の戦士がうなりながら取っ組み合っている。

 

だが、姉のウィンタースノウだけは敵に飛び掛らず何かを見ている。

 

「みんな!敵をはなして!その猫たちはシャドウ族じゃない!」

 

姉のわけのわからない言葉にすべての猫が動きを止めた。

 

「ふん。俺たちが見えるのか?」

 

どこからともなく邪悪な声がした。

 

「ええ、見えるわ。丸見えよ」

 

姉が言い返す。

 

「予想外だぜ、兄さん」

 

また新たな声がする。

 

「あんたたちはブルースターにおかしなことをしたやつらでしょ?」

 

「おかしなことはしていない。タイガースター様の命令だ」

 

何だって?シャドウ族の長の命令?

 

「いいから帰って!さもないと命はないわよ」

 

いつもはおしとやかな姉が歯をむいてうなる。

 

「これで終わったと思うなよ。いつかサンダー族を滅ぼしてやる」

 

姉の態度に臆することなく声は響き、やがて消えた。

 

そのとたん、敵の猫は消え、猫たちは困った表情を浮かべている。

 

「さっきの声、聞いた?」

 

フォールリーフは隣にいたブロッサムフェザーに尋ねた。

 

「声?そんなの聞いてないわよ」

 

フォールリーフは耳を疑った。あの声を聞いたのは僕だけなのか?

 

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ついにとらおさんの悪役登場!

 

次回はスパークフットさんの悪役も!

 

ネタ切れにならないように頑張ります!