プロローグ
(何だこれは…。)
4枚の翼をもつその猫は思った。気がつくと飛んでいるわけでもないのに真っ暗な虚空に浮いているのだ。そして無数の猫が激しく争う唸り声が聞こえた。しかし何も見えない。
(何なんだこれは…?)
再度思った時不意に視界が明るくなった。
「うん…?」
きずくとそこは昨日寝床に選んだ屋根の上だった。
「やれやれ、またあの夢か…。」
ここ数日間、彼は同じ夢を見ていた。何度か名前のようなものが聞こえたが思い出せない。
「まあ、いいか。この先をずっと進めば農場 があるらしいし今日はそこまでいくか。」
そう言って彼「さすらいの翼猫」はその背に生えた4枚の翼を広げ、新天地を目指して飛び立った。